78歩目 言葉を尽くす 

岐阜市の姿勢改善専門ピラティス

スタジオアルコスです。


言葉を尽くすということを

大切に思っています。

 

特に若かりし頃には

とにかく言葉を尽くせば

最後には分かり合える、通じ合えると

無邪気に思っておりました。

ですから

20代後半に

大切な人との新たな生活を始めた頃には

ケンカなどしようものなら

互いの考え方の違いを埋めるために

とことん、

それこそ夜を徹して(笑)納得いくまで

話し合ったものでした。

その甲斐あっての今があると

信じていますが(笑)、

若かったです‥。今ならできません‥。

今なら、一旦寝ます‥。

 

 

思いを口に出してわかってもらうには

心の中の

あっちにもこっちにも散らばっているたくさんのことを

一旦抽象化し、それから具体的に

わかりやすく言葉を選んで

相手に伝える必要があります。

そもそも自分が何をしたいのか

何を求めているのかを

自分自身で見直すことになります。

 

 

そして相手の言っていることに耳を傾け

何を言わんとしているのかを

理解しようとしなくてはいけません。

心もヒートアップしがちですし(笑)

上手く言えないことも冷静に聞けないことも

たくさんあります。

これらのことは決して簡単なことではなくて

根気と気力と体力を使います。

 

一つ気をつけないといけないのが、

相手の発しているその言葉が自分の知っている言葉であったとしても、もしかすると普段自分が当たり前のように使っている意味合いではないかもしれない、ということです。

極端な例で言えば

腹の立つことを言われたとこちらが感じても

相手は悪く言ったつもりではない、

下手をすると誉めていた‥なんてことがあるということです。

人それぞれの脳内辞書が必ずしも同じではないんですよね。

正しく思いを変換できていないということもあります。

 

また本当に言いたいことじゃない言葉を相手が口に出している場合もありますよね。そんな時にその言葉を額面通りに受け止めてしまうと互いの理解からはどんどん離れていってしまいます。

 

言葉を尽くすということは

相手をやり込めるとか、

打ち負かすということではなくて

それぞれが持っている辞書を持ち寄り、

対話しながら

新たな共通の辞書を作るようなものだと思います。

対話から言葉には厚みが生まれ、

出来上がる新たな辞書を使うことで

世界は広がっていくような気がします。

 

ですが、そうやって時間をかけて

作った辞書も一度作ったらおしまい、

ではありません。

いつまでも同じままでは

古びてしまいます。

なぜなら、それがもし2人の辞書だった場合、

その辞書を作り上げているのは

1人✖️2ですから

日々1人1人それぞれに

新たな人生が刻まれているのであれば

そこから生まれる思いや言葉のニュアンスは

常に変わっていくからです。

だから辞書も更新されなくてはならない。

 

そのためにはやはり

相手に向かって言葉を発し続け

相手の言葉に耳を傾け続けたいものです。

とはいえ、全てが共通していないといけないなんてことは

決してありませんし、不可能だと思います。

しゃかりきに頑張ってばかりでは疲れてしまいますから。

ここぞという時にはひとふんばりが必要ですが、

普段は緩やかに更新を続けていきたいものです。

 

共通の辞書は

誰とでも

どんな時でも作れるわけではありません。

 

世の中には言葉を尽くせど尽くせど

どうにもならない場合もあるのだ

ということも年を重ねる中で

わかってきました。

こんな時は心は乱れます。

それでも

それはそれで

その事実は受け入れないと

いけないですよね。

そして、どうにもならないなら

じゃあ自分はどうするのかを考えないと

いけません。

だから共通の辞書が作れるのは

特別なことなのかもしれません。

 

さて。少し話は変わりますが

この言葉を尽くすという対話は

自分と誰かにおいてのものだけではなくて

自分と自分の関係でも行われるものだと思います。

つまり身体と脳のやりとりにおいてです。

 

姿勢改善における

自分の身体とのやりとりは

いわば対話です。

身体に語りかける。

身体からの語りかけを受けとめる。

姿勢改善のための動きの学習では

常にその繰り返しです。

 

こんなところを使った事無かった!

こんなふうに動けるんだ!

こんな癖があるんだね!!

スタジオで発せられるこのような声は

まさに身体と脳の対話が成立している瞬間です。

新たな発見はいつもワクワクするものです。

脳と身体の理解が深まって仲良しになったのですから、

それは嬉しいに決まっています。

もちろんいつも上手くいくわけではありません。

思った通りにいかないこともあります。

思い通りにいかないことがわかるということも

大発見の一つですが、上手くいかないと

つまらなかったり、悔しかったりしますね‥。

辛い思いをすることもあるでしょう。

でもそれで終わらせるのではなく

少しずつ少しずつ、言葉を尽くすように

対話を重ねて互いの理解を深め、

その状態からどうあるのが良いのか

折り合いもつけながら、

でもそれはあきらめの折り合いではなく

その現実を受け止めて、そこからどうすれば

より良い状態が生まれるのかを模索していく

対話を続けていくのです。

その繰り返しの中で

身体と脳の共通の辞書が、

程よい匙加減の

自分だけのマニュアルができるのでは

ないでしょうか。

 

そして

この脳と身体における辞書作りは

生きている限り一生続けていくものだと

思います。

なぜなら

身体も脳もやはり生活環境や加齢に従って

変わっていくものですから、

更新、つまりバージョンアップが

必要となってくるのです。

ここでも

言葉を尽くし対話を続けるということですね‥。

 

できれば

身体と脳のやりとりも

穏やかに楽しくしたいものです。

もちろん夜を徹して、などは論外です^ ^。

ほどほどにして早く寝てくださいね^ ^。

 

2022年10月23日秋の夜長にて。ako©2021studioARCOS Akiko Kuzuya